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判例分析

判例分析介護事故の判例 福岡地裁平成15年8 月27日判決

   通所介護サービスを受けていた高齢者が、昼寝から目覚めた後に転倒して右大腿骨骨折を負った事故につき、介護サービス施設の債務不履行責任を認めた事例。裁判所は請求を一部認容し470万円の支払いを命じた。
  <当事者>
   被害者は、当時95歳で、ケアプランでは要介護状態区分4に認定されていた。Xは脚力が低下していることが認められ、横たわった状態から自力で立ち上がることは出来なかった。
  <裁判所の判断>
   通所介護契約の利用者は「高齢等で、精神的、肉体的に障害を有し、自宅で自立した生活を営むことが困難な者を予定しており、事業者は、そのような利用者の状況を把握し、自立した日常生活を営むことが出来るよう介護を提供するとともに、事業者が認識した利用者の障害を前提に、安全に介護を施す義務があるというべきである。
Xが歩行に困難を来すとともに転倒の危険があることは、契約締結時に示された居宅サービス計画書や、娘からの書面で知らされていた。また、Yにおける52回にわたる利用状況からYはXの活動状況を把握していた。よって、Xが昼寝の最中に起きあがり、移動することは予見可能であった。
さらに、「Xは視力障害があり、痴呆もあったのだから、静養室入口の段差から転落するおそれもあった」点についても、予見可能であった。
本件事故は、Yが、Xの動静を見守った上で、昼寝から目覚めた際に必要な介護を怠った過失により発生したといわざるを得ず、Yには、本件事故によりXに発生した損害を賠償する責任がある。