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介護事故判例分析

介護事故の判例 東京地裁平成19年5月28日判決

  <事案の概要>
   97歳女性、認知症あり。特別養護老人ホームで出前の卵丼を誤嚥して死亡。
  <裁判所の判断>
   事業者は利用者の生命、身体、財産の安全確保に配慮する義務を負い、また利用者の体調・健康状態からみて必要な場合には、医師又は看護職員と連携し、利用者から聴取確認してサービスを実施すべき義務がある。
院外看護要約書で食事摂食時にむせはないか、嚥下状態の観察が必要とされていたことからすれば、介護職員が吸引処置をしたとしても気道内の異物が完全に除去されたか否かを判断することは困難である。従って容体安定後も引き続き状態を観察し、容体が急変したときには直ちに嘱託医に適切な処置をするよう求めるか救急車の出動を要請すべきであったとして292万円の賠償を命じた。
  <考察>
   医師や看護師との連携は極めて重要。仮に転倒や誤嚥が不可抗力だとしても、適切な医療措置を受けさせなかった場合はそれだけで責任を問われうる。介護職員が骨折や呼吸不全を見落とすケースは少なくない。