坂野法律事務所|仙台|弁護士|

【営業時間】平日10:00〜18:00
022-211-5624

医療過誤解決事例報告

経気管支肺生検を行った際出血し窒息状態となり死亡した事案

平成21年1月示談成立
患者   女性 70歳代
医療機告 公的病院
事案の概要
    患者は、定期検診で右肺中下肺野の異常陰影を指摘され、平成19年10月相手方病院を紹介された。CTで右肺の悪性腫瘍が疑われたため、11月に経気管支肺生検(TBLB)が行われた。左側臥位にて1回目のバイオプシーで出血するも気管支鏡で止血。2回目のバイオプシー施行後、再度多量の出血、BF上視界不良、右B6入口部にファイバー挿入して圧迫止血を試みるも出血持続し、血液凝固塊による左右主気管支閉塞、窒息状態。呼吸減弱、心拍数低下、血液凝固塊吸引しつつ心肺蘇生、心拍再開、人口呼吸管理開始。意識戻らず低酸素脳症から平成20年1月死亡。
争点
1 生検による出血後の止血措置の適否
2 説明義務違反
コメント
 喀血の治療は、窒息防止と止血である。具体的には、「窒息を防止するためには健側肺の換気を行わなければならないので、体位を患側(出血部位の側)を下にして健側肺への血液の吸引を予防する。出血が容易に止まらないと認識したらダブルルーメンチューブに変更して健側の換気を確保する。止血のためには気管支ファイバースコープで気管、気管支内の血液を吸引、除去し、出血している気管支に気管支鏡を挿入し、気管支鏡で入り口部を閉塞する。数分間それを維持した後、気管支鏡を抜いて、トロンビンを溶解した生理食塩水を注入して再度気管支鏡で入り口部を閉塞する。これを繰り返し止血するまで続ける。」とされている。本件ではカルテの記載からは出血後担当医が気管支鏡で止血措置を行ったことしか記載されておらず、それ以外にどのような処置をどのような時間的経過でとったのか、また患者のバイタルサインの推移がどのようなものであったのかが不明であった。通常は体位変換だけで窒息は免れうるし、また短時間で凝血塊が形成されたというのも理解し難かった。
 なお予備的に、出血の危険性の高い生検ではなく気管支ブラッシングや気管支洗浄による細胞診あるいはPETを行うという非侵襲的な方法も選択肢として提示されるべきであったとの説明義務違反の主張もした。
 病院側は当初、窒息の原因は血液凝固塊による左右主気管支閉塞ではない、仮にそうだとしても出血が多量で止血困難であったと主張し責任を否定したが、交渉の結果示談に応じた。肺癌に罹患していたことと年齢を考慮して1650万円で示談を成立させた。