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判例分析

判例分析介護事故の判例 福島地裁(和解成立 和解金額は不開示とする合意)

   原告は男性、事故当時75歳。認知症、躁うつ病、糖尿病。
   平成21年11月5日以降、高齢者専用賃貸住宅において、介護施設が提供する介護サービスを受けていた。介護施設提携の病院内科受診中。
   平成22年6月15日、躁うつ病悪化したとの診断でリスペリドン投与開始。同年7月5日リスペリドン錠2mgが21日分処方された。7月12日以降21日までの経過は次のとおり。
  ① 嚥下障害
7/12 19´50  「むせり(+)」
7/13 20´15  「むせり(+)」
7/14 「朝食摂取やや時間かかる」
7/15 19´55  「ムセリやや(+)」
7/20 「昼食、主1/2 副全 ムセリ(+)」20´08「ややムセリ(+)」
7/21 「昼食、主1/4 副1/3 自力摂取不可」
② 構語障害
7/18 「呂律回らず会話困難な様子あるも返答(+)」
7/19 「意識あるも呂律まわらず」
7/20 「意味不明な訴え(+)」
③ よだれ
7/21 「だ液がでるのが困る」
④ 運動低下、鎮静、ふらつき等
7/15 「倦怠感(+)歩行不安定」
7/16 「倦怠感・胸焼けの訴え有。入浴せず。活気(-)」
7/18 「1′52 ナースコールあり薬効強く動けず尿失禁」
7/19 「声掛けに端座位になれず、会話がやっとできる様子」「歩行不安定」
7/20 「足の運び悪くふらつきあり」「朝食時は自力にて起上できず」
     「朝食時、お茶碗や箸スプーンがなかなか持てず、一部介助行」
7/21  ケアマネに連絡し状況報告す。9´40ケアマネ来館。状態確認し、定時の起上介助・定期的な水分補給・トイレ誘導指示あり。HPへの受診を早められないかの連絡を入れてみるよう指示あり。朝診察要請の連絡を入れる。
    被告病院受診(介護スタッフ2名が立会い)BP109-57 KT38.8℃。WBC  20240↑↑CRP 0.71
    再診の7/26まで様子を見ることとする。リスペリドンによる過鎮静傾向で効いているような状態。
    同年7月22日、S総合病院入院
肺炎球菌肺炎(誤嚥による)と診断し、CTRX1gを開始した。精神科の薬は全て中止して様子を見たが不穏となり再開した。再開すると意識レベルが低下し誤嚥するようになり、7/30精神科にコンサルトし調節を依頼し抗生剤をCAZに変更し肺炎は改善した。誤嚥が続き食事は困難と判断され経管栄養を継続した。また尿閉となり、尿道カテーテルも留置した。8/16より発熱し酸素飽和度も低下し、肺炎の再発と診断されCTRX1gを開始したが呼吸状態が悪化。同年8月18日死亡。
  <原告の主張>
   医師がリスペリドンについて適切な服薬指導、副作用への対応方法の説明を行っていれば、介護施設はより早期に医療機関を受診させたはずで、その場合は服薬中止によって誤嚥性肺炎の発症を防止できた。
    本件では医療機関を受診させるのが遅いので、もし医師が適切な服薬指導を行っていた場合には介護施設の責任が問われうる事案。介護施設には新規薬の与薬の際にはその副作用を理解し、副作用の徴候が見られた場合には医療機関に相談するあるいは受診させる義務がある。